【行政講話】大門課長補佐「未だに健全化・適正化の途上」

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一般社団法人 日本遊技関連事業協会(庄司孝輝会長)は6月5日、ハイアットリージェンシー東京において第25回通常総会を開催。その中で、警察庁生活安全局保安課の大門雅弘課長補佐が来場して行政講話を行った。
「警察による指導や取締を継続することにより、業の健全化や適正化が推進されるという状況は、まだまだ健全化、適正化の途上にあり、業界自体が熟していないと言わざるをえず、まことに残念なことであります」という表現で、業界の自主的な健全化・適正化の取組みを要請した。

■講話(要旨)
日遊協の新会長として庄司孝輝氏が追認され、1年が経ちました。庄司会長のもと、皆様方におかれましては、遊技人口が減少傾向にある中、ぱちんこ産業を大衆娯楽として再び蘇えらせるとの決意のもと、1円ぱちんこに代表される遊技料金の低価格化、遊技機の不正改造防止対策、射幸性を抑えた遊技機の開発等、遊技客が少ない遊技料金で安心して遊技そのものの面白さを楽しんでもらうための努力を続けてこられました。また、東日本大震災の復興支援ボランティアをはじめとし、社会福祉への支援等、さまざまな社会貢献を行ったほか、依然として社会的な課題となっている電力問題についても再生可能エネルギーの利用促進など、社会の要請と真摯に向き合い、社会的責任を果たそうと皆様方がご尽力され、相応の実績を上げたと思っています。しかしながらぱちんこ業界では、依然としてのめり込みに起因すると思われる各種問題や、遊技機の不正改造事犯、賞品買取事犯、違法な広告宣伝・賞品提供等が後を絶たず、ぱちんこ遊技の健全化を阻害する要因が残されていることも事実です。ぱちんこが手軽に安く安心して遊べる真の大衆娯楽として、国民に幅広く受け入れられるよう、こうした問題ひとつ一つに対し、貴協会をはじめ業界が一致団結して、誠実にかつ着実に対処していただきたいと考えています。このような状況の中、業界の健全化を推進する上で特に必要であると考えている事を何点かお話したいと思います。

(1)過度に射幸性を追求した営業の問題について
ぱちんこ産業の現状について申し上げると、公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2013」の発表によると、市場規模は9年ぶりに回復し、平成24年は19兆660億円となっていますが、ぱちんこ遊技への参加人口は、対平成23年比で150万人減の1110万人ということであり、3年連続減少しています。また年間平均遊技回数は、27.8回から27.4回に減少したのに対し、年間平均費用については9万3700円から9万7100円に増加しており、ぱちんこ営業の売上において、いわゆるヘビーユーザーへの依存度がますます大きくなっているものと推察されます。このことは、業界がこれまで進めてきた安く安心して楽しむことができる遊技を提供するという方向性に、必ずしも向かっていないのではないかと危惧しているところであります。ぱちんこ遊技の射幸性の問題は、次でお話ししますのめり込みの問題と無関係ではありません。のめり込み問題に対する対策ももちろん大切ですが、そもそも遊技客がのめり込まないよう射幸性を低く抑えることが基本であると考えています。このため、ヘビーユーザーへの依存度を解消し、ライトユーザーの獲得を進めていくことが、業界にとって一層重要になってくるものと考えます。多くの人々にぱちんこ遊技への興味を向けてもらう上で基本となるのは、ポケットマネーの範囲内で適度に遊んで帰ることができるという身近な大衆娯楽としてのぱちんこ本来の姿にほかならないと思います。そして、その本来の姿のぱちんこを望むファンの多いことは、低貸玉営業が8割を超える店舗に普及しているという実態や、一般に4円ぱちんこより1円ぱちんこの方が、稼動率が高いと言われる実態からうかがい知る事ができるのではないかと思っています。現在、業界ではぱちんこ営業者団体と遊技機製造業者団体とが協力して、遊技客のニーズに応えた幅のあるゲーム性を有する遊技機の開発に力を注いでいると伺っています。貴協会にあっては業界唯一の横断的組織という強みを活かしてそのような開発にあたり、射幸性の抑制が肝心である事を各団体に提起していただき、今後のぱちんこ遊技がより健全なものとなって行くことを期待しています。なお遊技機の射幸性の抑制は、短期的には収益を下げる可能性があるかもしれませんが、長期的な視野に立てば、ファンを維持拡大するものであろうと思います。皆様方のより一層の取組みを期待するとともに、警察としても業界の自主的な取り組みへの支援を行って参りたいと考えています。

(2)のめり込み対策について
射幸性の抑制に向けた取組みが続けられていながら、依然としてぱちんこ遊技へののめり込みが要因とみられる事件の報道が散見されることは、まことに残念な事であり、このような報道の度にぱちんこに対する国民の視線は厳しさを増すことになります。また、ぱちんこ店の駐車場における児童の車内放置事案についても業界挙げて未然防止対策に取り組んだ結果、去年は児童が死亡するという痛ましい事案の発生を防いでいただきましたが、重大事案に発展するおそれのある事案が依然として発生していることも事実であります。本年もこれから暑い時期を迎えますが油断することなく、対策の継続実施をお願いします。またのめり込み問題の業界の取組みとして、ぱちんこ依存問題相談機関特定非営利活動法人 リカバリーサポート・ネットワークの支援があります。RSNでは、平成18年4月の設立以来、毎年1千件前後で推移していた相談件数は、一昨年約2千件、昨年には約3300件と急増しております。これは業界の積極的な取組みとして、広報ポスターの掲示等、営業所内外における注意喚起、広報啓発の強化が推進されたことにより、埋もれていた相談ニーズが目に見える形で現れはじめてきたということだと考えます。引き続き広報・啓発等の取組みを推進し、埋もれたニーズを掘り起こしていただきたいと思いますが、一方で、相談件数の急増に伴うRSNの負担増加を考慮し、体制の拡充を含めたさらなる支援をお願いし、のめり込み問題に悩み苦しむ人々に十分な対応が行き届くようにしていただきたいと思います。のめり込み問題は、ぱちんこ遊技の負の側面と言われておりますが、負の側面に業界がしっかりと向き合って取り組む責任があることを自覚していただき、射幸性の抑制に向けた取り組みと相まって、引き続き業界全体で真摯に対応していただきたいと思います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA(3)パチンコ営業の賞品に関する問題について
□賞品買取りの絶無
賞品の買取り事件の昨年の検挙件数は、一昨年と同様に5件あり、近年1、2件で推移していたことからすると、2年連続で多発している状況は、由々しき事態と認識しています。また、その中身を見てみると、10年以上の長期にわたって犯行を継続していたり、犯行形態として第三者の買取り所を装っているなど、ほんの出来心とか、魔が差したというような偶発的、短絡的な犯行ではなく、計画的かつ確信的に行われていたと言わざるを得ない事件であります。さらに残念なことには、犯行に手を染めた営業者は、都道府県の遊技業協同組合の幹部であったケースも複数把握しています。この賞品買取りについては、我々としても毎年の行政講話において話題としており、業界関係者であれば、誰もが犯罪行為であることは、ご承知のことと思いますが、なぜ、同種の事案がなくならないばかりか、多発する状況が継続しているのでしょうか。業界の風潮として、形さえ第三者の賞品買取り所としておけば、賞品の買取り行為が許されるのではないかといった甘い考えが蔓延しているのではないでしょうか。去年の検挙件数5件という数字を少ないと感じる方がいるかもしれないが、この賞品買取り事件は、被害申告のない事件である性質上、事実があるからといって、すべの事案が警察に寄せられる訳ではありません。むしろ検挙できた事件の中身として、第三者の買取り所を装い、長期間にわたり犯行を継続していた事実からすると、発覚した事案は氷山の一角ではないかと、疑われるところであります。ぱちんこ営業については、その営業の対応によっては、客の射幸心を著しくそそるおそれがあるところから、風営適正化法に基づき、賞品の買取り禁止をはじめ、必要な規制が行われているところであり、この風営適正化法で決められた範囲内で営まれている営業については、賭博罪にあたる行為を行っているとの評価を受けることはないものと考えている。貴協会にあっては、今一度この買取り行為の規制が、ぱちんこ営業が賭博と一線を画すための非常に重要な規制であり、ぱちんこ営業の根幹に関わることを周知徹底していただきたい。また、第三者の買取り所を装う営業所の買取り行為が後を絶たない実態を踏まえていただき、営業者の行為が仮に風営適正化法に違反しないとしても、営業者が買取り行為の仕組みを考えたり、論じたりすること自体が、そもそも風営適正化法の趣旨に反することの理解を重ねてお願いしたい。
□賞品の取りそろえの充実
ホール関係5団体は、平成18年に「ぱちんこ営業に係る賞品充実に関する決議」を行っていますが、昨年5月時点での調査結果では、いまだに履行されているとはいえない状況が認められたため、昨年10月、指導文書(「パチンコ営業に係る賞品の取りそろえの充実の更なる推進について」)を発出いたしました。賞品の取りそろえの充実は、客の多様な要望を満たすことで、換金需要を低減させる効果を期待するものであり、遊技客の適度な射幸心を保つ上で重要な規制であります。そのことを業界でも重視していたからこそ、換金需要の増加に伴う射幸心の高まりを問題視し、平成18年の決議がなされたものと認識している。しかし8年が経過した今、決議において取り決めた目標が、未だ達成されていない状況を真摯に受け止めていただきたいと思います。自ら決意した事が達成できていない現状を打破するためにも、貴協会におかれては、他団体と連携しながら、この目標達成に向け、さらなるご尽力を賜るとともに、業界自らその達成状況を確認していただきたいと思います。
□適切な賞品提供の徹底
賞品の提供方法については、等価交換規制がされていることは御承知のとおりでありますが、依然として、一部営業者においてはこの等価交換規制に基づかない賞品交換を行っており、行政処分等厳しく指導・取締りを継続している状況にあります。昨年もこの講話の際、市場価格に基づく適切な賞品提供の徹底について申し上げたと思いますが、未だに風営適正化法が求める賞品提供方法について理解していない営業者がいる事は、非常に残念な事であります。風営適正化法の関係条文をあらためてご認識いただき、遊技の結果に対する健全なおまけとして、適切な賞品を適切に提供していただきたいと思います。また、本年4月1日から、消費税率の改定に伴い、遊技料金の変更等の措置を行った営業者もあろうかと思いますが、その機に乗じて、賞品の等価交換規制の遵守に疑念を抱かれるような行為をすることは、厳に謹んでいただきたい。例えば、増税に伴うコストの削減と称して、市場価格を考慮することなく、賞品価格を不当に値上げしたり、賞品交換時に定率の手数料を取ったりするような行為はあきらかに等価交換規制に違反するものでありますので、ご承知の通りかと思いますが、今一度注意喚起をお願いしたい。

(4)遊技機の不正改造の絶無について
近年の不正改造の手口は、主基板の改造や、周辺基板のROMプログラムの改ざんが、擬似かしめ等の工作により、巧妙に隠されたものも認められるなど、一層、悪質巧妙化している。このような状況を踏まえ、不正改造情報の収集やこれを活かした不正に強い遊技機づくり等の様々な取組が推進されているところであり、一定の成果を挙げているものと考えていますが、このような悪質巧妙化している不正事案に対し、引き続き手を緩めることなく、事案の防止対策と事案の発覚が容易になる対策、両面において、より効果的な対策を模索していただきたい。またこの対策を実効あるものにするためには、営業者の遊技機の取り扱いに対する厳格な姿勢も不可欠であると考えています。昨年の営業者による無承認変更事案の多くは、申請を受けないでの部品の変更や、申請中の承認前稼動といった事案。一方で、遊技釘の角度を調整と称して意図的に変更した事案、営業所の従業員がゴトグループによる不正部品の取り付けに加担した事案等、悪質な事案が未だに見られます。これらの無承認変更事案が長年継続して発生している事実は、業界を挙げて懸命に取り組まれているゴト対策をはじめとする健全化の取組に対し、水を差すものであります。営業者の皆様にあっては、行政処分で止まった事案であっても、軽く考えることなく、その絶無を期していただきたいと考えています。このような事案の常態化は、遊技機の取り扱いに対する厳格性を風化させるものであります。もし仮に営業者や店長の意向としてコスト削減と称して、変更申請中に承認を待たずに稼動させたり、業界の慣習と称して、悪びれる事なく、釘曲げを堂々と敢行しているのであれば、従業員が遊技機の取り扱いに対して厳格になれるはずもありません。営業者や各営業所の店長自身の営業姿勢、営業方針が従業員の遵法精神を大きく左右するものであります。ゴト行為や無承認変更事案の絶無を期すにあたり、営業者や店長が従業員に対して、これらの犯罪行為に手を染めさせない対策を講じることはもちろん、営業者や店長自身が遊技機の取り扱いに厳格であることが基本と考えます。その事を念頭に業界を挙げた不正改造対策をさらに実効的なものとしていただきたいと思います。また、一般社団法人 遊技産業健全化推進機構の活動については、立入り検査店舗数が昨年末時点で1万8千店舗を超え、この立入り検査を端緒に検挙に至った事例も多数あり、機構は着実に成果を積み重ねています。しかしながら、遊技産業健全化推進機構の立入り検査活動において、一昨年は秋田県内のホールでの立入り検査拒否事案。続いて去年11月にも立入り検査の妨害事案があったところ。立入り検査を妨害するような行為は、不正改造の根絶を目指す、業界全体の取り組みに真っ向から背を向ける行為であり、非難して許されるべきものではありません。このような事態が継続して発生していることを業界として重く受け止め、ふたたびこのような事が起きることがないようぱちんこ営業者のすべての方にあらためて周知徹底をお願いします。警察といたしましては、引き続き、遊技産業健全化推進機構と積極的に連携しつつ、厳正な取締りを推進してまいりたいと考えております。皆様方には不正改造が根絶され、お客様が安心して遊技できる環境が整備されますよう、業界を挙げた取組みをより一層強力に進めていただきたいと思います。

(5)広告・宣伝等の健全化の徹底について
広告・宣伝について昨年の行政処分の件数については、平成24年と比べると減少していますが、それは平成24年が突出して多かったもので、平成21年から平成23年までの3年間と比較するとほぼ横ばいという状況。事案の中身では、特定の日に特定の遊技機を示し、イベント開催を告知して、射幸心を煽るものや、釘を開く等の違法行為の宣伝に関するものが未だに発生しています。特に、隠語を用い規制の目を掻い潜ろうとするような悪質事案が発生し続けていることは残念でなりません。広告宣伝等の健全化を進めていくためには、射幸性に頼った営業から脱却する以外に道はありません。業界を挙げた取組みとしても、「気軽に遊んでもらおう」をキーワードに遊技産業活性化のプロジェクトが進められていますが、そういったコンセプトにそぐわないような広告宣伝が継続して行われたことについて、今一度認識をあらたにしていただきたいと思います。皆様方には、広告宣伝等の健全化を徹底することが、遊技機における射幸性の抑制と同様に過度なのめり込み、及びのめり込みに起因する犯罪等の防止という点で意義を有することを踏まえ、業界全体で広告宣伝等の適正化が徹底されるよう取り組んでいただきたい。

(6)ホールにおける置き引き対策について
本年2月に発出した指導文書の通り、平成25年中の置き引きの認知件数は4万3182件。平成14年中の7万6170件からすると、約43%減少しており、犯罪抑止に一定の成果が見られているところ。そのような中で、ぱちんこ店等を発生場所とする置き引きは、平成25年中9121件と、平成14年5528件と比べると65%も増加しており、平成18年以降ぱちんこ店は、置き引きの最も多い発生場所となり、全体の5分の1を占める状況となっている。安全で安心な遊技場所を確保することは、ぱちんこが健全な大衆娯楽であるための大前提であるとともに、遊技客に気軽に遊んでもらうための、必要不可欠な条件であると考えておりますが、ここ10年で発生が増加し続けている現状を見るに、置き引きの発生が、業界として軽んじられてきたものと言わざるを得ません。貴協会におかれましては、置き引きの発生がいまやぱちんこ業界に突出した現象に危機意識を持ち、その根絶を目指すことを業界の常識とすべく、業界を挙げて取り組むべき課題のひとつに加えて、強力に推進していただきたいと思います。

ぱちんこ産業は、遊技人口が減少しているとは言え、なお1000万人を超える非常に多くの方々が参加している遊技産業であります。その意味でぱちんこ業界は、真の大衆娯楽を形成する社会的責任を担っていることを自覚していただくことが急務であります。ぱちんこ業界が目指すべき真の大衆娯楽というのは、国民の憩いや潤いを与えるものだと思いますが、前提として犯罪行為や違法行為が許されない雰囲気が、ぱちんこ遊技が行われる場において熟成されていることが不可欠と考えます。営業所内において、営業者や従業員が犯罪や違法行為を起こさない事はもちろんのこと、来店する遊技客に対しても犯罪を起させないといった基本的な事項を前提とした上で、手軽に安心して楽しめる遊技を実現していただきたいと思います。もちろん不適切な営業実態を慣習として、既得権益のように考える違法営業者に対しては、警察として一切手を緩めることなく、取締を進めていくつもりですが、警察による指導や取締を継続することにより、業の健全化や適正化が推進されるという状況は、まだまだ健全化、適正化の途上にあり、業界自体が熟していないと言わざるをえず、まことに残念なことであります。ぜひ、業界の自主的な取り組みにおいて業の健全化、適正化を達成し、それを維持していくことを理想としていただきたい。

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