行政講話 岐路に立つパチンコ業界

一般社団法人 日本遊技関連事業協会(庄司孝輝会長)は6月11日、ハイアットリージェンシー東京において、第26回通常総会を開催。席上、大門雅弘課長補佐(警察庁)は、小柳誠二保安課長のメッセージを代読し、射幸性の抑制と適正管理の実現を最優先課題とした健全化を要請した。

①射幸性の抑制に向けた取組み
②いわゆるのめり込み問題を抱えている方への対策について3点(パチンコ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン及び同運用マニュアルについて、RSNについて、児童の車内放置事案防止について)
③ぱちんこ営業の賞品に関する問題について3点(賞品買取事犯について、賞品の取りそろえの充実について、適切な賞品提供の徹底について)
④遊技機の不正改造の絶無について
⑤遊技くぎの問題について
⑥遊技機の設置や部品変更に伴う適正な手続の徹底について
⑦広告・宣伝等の健全化の徹底について
⑧ホールにおける置引き対策について

【行政講話】
「講話を講話のまま終わらせてしまう事なく、射幸性の抑制と適正管理の実現を最優先課題」

皆様方には、平素から警察行政各般にわたりまして、深い御理解と御協力を賜っているところであり、この場をお借りしまして御礼申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。

皆様方におかれましては、業界唯一の横断的組織という特色を発揮され、1円パチンコに代表される遊技料金の低価格化、遊技機の不正改造防止対策、射幸性を抑えた遊技機の開発等、遊技客が少ない遊技料金で安心して遊技そのものの面白さを楽しんでもらうための努力を続けられ、業界をリードして、ぱちんこ産業の健全化に尽くされてきたものと承知しています。本年に入り、業界関係14団体を会員とするパチンコ・パチスロ産業21世紀会としての活動としても、貴協会がいかんなく主導力を発揮していただいたことにより、「ぱちんこ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」、「同運用マニュアル」等速やかに策定していただいたことには、業界の健全化に一定の成果を収めたものと、頼もしく感じています。また、東日本大震災への復興支援ボランティアをはじめとし、里山造成事業、清掃活動など様々な社会貢献活動を継続して行った他、依然として社会的な課題となっている電力問題を含めた環境問題についても、省エネ対策をはじめ、積極的に社会的責任を果たそうとご尽力され相応の実績をあげてこられたものと思っています。

しかしながら、依然として、のめり込みに起因すると思われる各種問題や、遊技機の不正改造事犯、賞品買取事犯、違法な広告宣伝・賞品提供等が後を絶たないなど、ぱちんこ遊技の健全化を阻害する要因が残されていることも事実です。特に昨年は、通称IR法案と呼ばれる、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案が国会において審議される中で、ぱちんこ遊技に対する遊技客の依存・のめり込みが大きな問題とされ、ギャンブル依存の疑いのある方が536万人と推計された厚生労働省の研究班の調査対象に、ぱちんこも含んだ数字として報道されるなど、ぱちんこ産業に向けられる国民の視線はこれまで以上に厳しくなっております。

貴協会におかれましては、業界を取り巻く厳しい現状に危機意識を強く持っていただき、ぱちんこが低予算で安心して遊べる娯楽として社会から認められるよう、貴協会をはじめ業界が一致団結し、早急かつ着実に対処していただきたいと考えています。そこで本日は業界の健全化を推進する上で、特に必要であると考えていることを何点かお話ししたいと思います。

■射幸性の抑制に向けた取組について

ぱちんこ産業の現状について申し上げますと、公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2014」によれば、平成25年、市場規模が18兆8千億円と高水準で推移する一方で、ぱちんこ遊技への参加人口は、対前年比で140万人減少し、1000万人を割り込む970万人となりました。このことからすると、いわゆるヘビーユーザーへの依存度が高い状況が続いていると推察されます。近年のこのヘビーユーザー化の傾向については、ホール営業者自身が営業活動の現場において肌で感じていることと思いますが、今一度、我々行政からも強調しておきたいと思います。市場規模の18兆8千億円を、遊技人口970万人で割ってみますと、一人当たりの年間遊技費用の概算が算出されますが、概ね200万円の遊技費用となります。驚くべき数値であります。参考に、平成元年当時の数値を見てみますと、市場規模が15兆3千億円、遊技人口が2990万人ですから、一人当たりの年間遊技費用は、概ね50万円でありました。それを平成25年と単純に比較すると、一人当たりの年間遊技費用は4倍となります。毎月5万円で遊んでいた人が、毎月20万円で遊ぶようになったということになります。遊技人口が年々減少する中で、市場規模がさほど変化していないぱちんこ産業の推移の裏側では、遊技客の遊技費用の増加が顕著になっているのであり、このことが、近年業界でよく言われるヘビーユーザー化を示す一例ではないかと思います。

あくまで一例ではありますが、業界の皆様にあっては、こうしたヘビーユーザー化が進行した今の射幸性の高い営業が、果たして、ぱちんこにのめり込んでいる方を家族に持つ方々をはじめとして、多くの国民の理解が得られるものかどうか、まずは自問自答していただきたいと思います。「客が射幸性の高い遊技を求めるのだから仕方がない」という言い訳は、これだけぱちんこ依存を問題視する声が大きくなった現状においては、もはや通用するものではありません。ぱちんこ営業が「射幸心をそそるおそれのある営業」である限り、射幸性の適度な抑制は、健全な営業であるための不可欠な条件でありますが、今の営業実態とぱちんこに対する国民感覚とは大きくかい離しているのではないかと危惧しております。

そのような認識を貴協会におきましても持たれることを願ってやみません。昨年8月、21世紀会として決議した方針に基づき、業界全体によるのめり込み対策の強化を継続されていると承知していますが、のめり込ませない対策の本質はぱちんこ遊技の射幸性の抑制にあります。その実現には遊技客の費消金額や獲得賞品総額を抑えること、偶然性に過度に依存しない遊技を創出していくことなどが必要であると考えます。少額で遊べる遊技や短期間で終了する遊技の創出について、メーカー、ホール双方の視点から検討されていると承知しています。

しかし、貴協会におかれては、それらの検討が実際に遊技台の前に座るユーザーに届く対策となり得るのかという尺度で見極め、実効的な射幸性抑制策の実現に向けて、各関係団体をけん引する役割を担っていただきたいと思います。

■いわゆるのめり込み問題を抱えている方への対策について3点

1点目は21世紀会として策定していただいた「ぱちんこ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン及び同運用マニュアル」について。この業界を挙げた取り組みの目的は、のめり込みを未然に防止し、のめり込んだ人が抱える問題解決に寄与するとともに、その家族をはじめとした関係者の理解を得ることでもあると承知しております。しかし、その実現にはこのガイドライン等が今後どのように現場で運用されるかが重要と考えています。そのためには、ガイドライン等を運用していくホールの現場での指導教育を徹底していくとともに、必要があればガイドライン等をさらに実践的なもの、効果的なものに改定していくことも重要と思います。適切なフォローアップを随時実施してほしいと思います。

2点目は、認定特定非営利活動法人リカバリーサポート・ネットワークについてです。同法人に寄せられた平成26年中の電話相談件数は3077件であり、前年と比べ微減しているものの、依然として電話相談を必要としている方の存在がうかがわれている状況にあります。引き続き、広報ポスターの掲示等、営業所内外における広報啓発等の取り組みを推進することで、ぱちんこに問題を抱える方々に対して、相談窓口の門戸が開かれていることの認知度を高めていただくとともに、同法人の事業活動に関する負担を考慮してさらなる支援をお願いします。

3点目は児童の車内放置事案防止についてです。昨年6月に、駐車場の車内に乳児が放置され、熱中症により亡くなるという痛ましい事件が発生いたしました。また、業界で取り組まれている巡回活動等により、例年数十件もの児童の発見事案が継続していることを考えれば、予断を許さない状況が続いているものと言わざるを得ません。本年もこれから暑い時期を迎えますが、このような痛ましい事件の絶無に向けて、油断することなく各種未然防止対策を積極的に進めていただきたいと思います。

のめり込み問題は、ぱちんこ遊技の負の側面と言われることもありますが、この負の側面から目を背けることなく、問題解決に積極的に取り組むことが業界の社会的責任であることを自覚していただき、先にお話しした射幸性の抑制に向けた取り組みと相まって、引き続き業界全体で真摯に対応していただきたいと思います。

■ぱちんこ営業の賞品に関する問題について3点

1点目は、賞品買取事犯について。平成26年中における賞品買取事犯の検挙件数は9件で、前年に比べ4件増加しており、近年の増加傾向に歯止めがかからない状況にあります。また、事件の内容を見てみると、法人の役員ぐるみで数店舗にわたって組織的に買取行為を行っていた事案等、悪質な事案が後を絶ちません。こういった危機的現状も踏まえて、警察庁では、本年4月1日付で風営適正化法に関する処分基準のモデルの一部を改正し、現金等提供禁止違反及び賞品買取り禁止違反についての量定基準の見直しを行い、営業停止の基準期間を3月相当に引き上げました。賞品買取行為の規制が、ぱちんこ営業が賭博と一線を画すための非常に重要な規制であり、ぱちんこ営業の根幹に関わることを業界内で今一度周知徹底していただき、賞品買取事犯の絶無を期していただきたいと思います。

2点目は、賞品の取りそろえの充実について。賞品の取りそろえの充実は、平成18年に業界の取り決めとして「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実に関する決議」がなされたものと承知しています。しかし、現在においてもその履行状態は不十分であると認識しております。皆様方におかれましても、自ら立てた目標がいまだ達成されていない状況を真摯に受け止めていただき、さらなるご努力をお願いしたいと思います。

3点目は、適切な賞品提供の徹底について。賞品の提供方法については、等価交換規制がなされていることは、皆様も当然ご承知のことと思いますが、残念なことに依然として、一部営業者がこの等価交換規制に基づかない賞品交換を行っており、行政処分等厳しく指導・取締りを継続している状況にあります。適切な賞品を適切に提供するという事が、業界の共通認識となりますよう、周知徹底に努めていただきたいと思います。

■遊技機の不正改造の絶無について

近年の不正改造の手口は、主基板の改造や、周辺基板のロムのプログラム改ざんが擬似カシメ等の工作により、巧妙に隠されたものも認められているなど、一層悪質巧妙化しております。このような厳しい状況の中、業界では不正改造情報の収集や、これを生かした不正に強い遊技機づくり等の様々な取り組みを推進され、一定の成果があげられているものと考えておりますが、このように悪質巧妙化している不正事案に対しては、引き続き手を緩めることなく、より効果的な対策を模索して施策を進めていただきたいと思います。

また、一般社団法人 遊技産業健全化推進機構(推進機構)の活動につきましては、立入検査店舗数が昨年末時点で2万店舗を超え、この立入検査を端緒に検挙に至った事例も多数あるなど、着実に実績を積み重ねております。しかしながら、推進機構の立入検査活動において、昨年12月にも立入検査の妨害事案が発生した他、妨害には至らないまでもそれに近い事案もあったと承知しています。立入検査を妨害するような行為は、不正改造の根絶を目指す業界全体の取り組みに真っ向から背を向ける行為であり、断じて許されるべきものではありません。このような事態が継続して発生していることを業界としても重く受け止め、再びこのようなことが起きることのないよう、ぱちんこ業界全体における不正改造対策への意識改革を行うとともに、推進機構の活動について周知徹底をお願いします。警察といたしましても、引き続き、推進機構と積極的に連携しつつ、厳正な指導・取締りを推進してまいりたいと考えております。

■遊技くぎの問題について

くぎを曲げるなどして、検定や認定を受けた遊技機と異なる遊技性能を創出することについては、悪質な不正改造事案であることは、ご承知の通りであります。しかし、依然として同種事案の発生に歯止めがかからない状況にあります。特に現在、ぱちんこ遊技機市場の大半を占めるデジパチについては、大当り抽選が作動する中央始動口のみを入賞させるよう、両脇その他の一般入賞口に玉が入らない仕様に改造する、くぎ曲げ行為が懸念される状況にあります。具体的には、現在市場に出回っている、ぱちんこ遊技機について検定を取得した時の設定値によれば、一般入賞口に入る玉数は10分間に数十個、1時間に数百個がコンスタントに入る性能となっている。この性能を有する遊技機の一般入賞口に玉がほとんど入らなくなっているとすれば、極端に性能が改変させられた遊技機が営業の用に供されていることとなり、異常な事態であると言わざるを得ません。

そのような状況を改善すべく、本年6月から推進機構の検査活動として、くぎに関する遊技機性能調査を実施していただくことになったのは先月(5月)通知した通りです。このくぎの問題については、曲げれば不正改造というだけの単純な問題ではなく、遊技性能、すなわち遊技機の射幸性の適正管理を侵害するという、ぱちんこ営業の規制の根幹を揺るがす問題である事を強調しておきたい。

ご承知の通り、くぎは遊技機の性能に直結する重要な部品であるため、くぎの角度、方向等を変更することは、検定を受けた型式の性能を改変することにほかならない。過度に偶然性に偏った遊技性能等、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機として、営業の用に供していることが認められれば、風営適正化法第20条第1項(遊技機の性能の基準「風俗営業者は、その営業所に、著しく客の射幸心をそそる恐れがあるものとして同項の国家公安委員会規則で定める基準に該当する遊技機を設置してその営業を営んではならない。」)違反として、行政処分の対象となります。この違反は、当庁で定める量定基準では営業停止の基準期間につき、3月相当として、非常に重い処分となっています。また、仮にメーカーがこのような著しく射幸心をそそるおそれのある性能を有した遊技機を、検定を受けた型式に属した遊技機として販売したり、不正の手段により検定を受けたり、遊技機取扱説明書の内容が正しく記載されていないことが判明した場合は、当該検定が取消されるとともに、当該メーカーはこの先5年間、検定を受ける資格を失うこととなります。

このように、遊技機の射幸性の適正管理を侵害する違反が非常に厳しい理由は、先ほど申し上げた通り、風営適正化法において、ぱちんこ営業を規制する上で射幸性の適正管理が制度の根幹の一つであるからに他なりません。また、冒頭、射幸性の抑制の重要性を申し上げましたが、これを実行していただくための大前提は、当然のことながら、射幸性が適正に管理されていることであります。射幸性の低い遊技機の開発・普及への取り組みをいくら強調したところで、遊技客に遊技サービスが提供される時点で不正に性能が改変されているのであれば、射幸性の抑制は有名無実となります。射幸性の適正管理なくして、射幸性のさらなる抑制なしであります。

貴協会におかれましては、くぎの問題が不正改造事案であるばかりでなく、ぱちんこ営業における射幸性の適正管理を侵害するという制度の根幹を害する事態であるとの認識に改めていただき、貴協会が業界横断的組織であるという立場から、くぎに関する健全化対策を、業界を挙げた取り組みとして率先して推進していただきたい。目指すべきは、検定を受けた型式と同じ遊技性能を有する遊技機が、全国ホールの営業の用に供されることでありますが、その実現に向け、本年6月から開始されました推進機構の遊技機性能調査をきっかけに、必要があればその結果も利用しながら、ホール団体としてやるべきことは何か、また、メーカー団体、販売業者団体としてやるべき事は何か、貴協会が是非ともリードしていただき、改善に向けた取り組みを早急に検討・実行していただきたいと思います。今後の業界の成熟のためにも、推進機構からの警察への通報制度が開始された以降の警察の摘発により、健全化が図られるものであってはならないと考えています。

■遊技機の設置や部品変更に伴う適正な手続の徹底について

風営適正化法令においては、ホールに適切な遊技機が設置されるよう、遊技機設置や部品交換時の変更承認手続においては、メーカー等が作成した保証書の添付が義務付けられているのはご承知の通りです。しかしながら、昨今、検定を受けた型式に属さない遊技機がホールに設置されるケースや、部品交換時の保証に必要な点検確認が適切になされていないケース等、保証書に関する取扱いが適正に実施されていないのではないかと、疑われる事案が立て続けに発生しており、流通過程における取扱業務の健全化の精神が業界内で風化しているのではないかと危惧しています。そのため、この保証書の取扱いについて今一度詳細にお話をしたい。

まず、保証書で何を保証しているのか。ホールに設置されようとしている遊技機や、部品交換により変更された遊技機が、検定を受けた型式と同一であることを保証するものであります。即ち、この保証がなければ変更承認申請を受けた都道府県公安委員会としても、申請対象の遊技機が検定機であるか否か判断ができない、ホールの営業の用に供して良い適正な性能の遊技機か否か判断ができない、ということであります。その意味で、この保証の問題も先ほどのくぎの問題でも申し述べた、遊技機の射幸性の適正管理の問題であるということができる。どうか、このことを軽く考えないで頂きたいと思います。変更承認を要する場合として、新台入替、中古機入替、部品交換の3つがある。そのうち、中古機入替の保証の実務としては、業界全体で取り決めている中古遊技機流通健全化要綱にのっとり、遊技機取扱主任者の資格を有する者を従業員とする販売業者において、適正に遊技機の保証行為が行われるよう、厳格に中古機流通制度が運用される事により、メーカーでない者が中古機入替の保証を行うことが可能となっている。

一方で、新台入替の保証については、当然メーカーによる保証になるが、昨今、ホール設置前に不正改造される事案等、検定機と異なる遊技機が設置されてしまう例が散見されるのはご承知の通り。その原因の一つは、流通過程の複雑化にあると考えている。つまり、メーカーの発送からホールに設置されるまでの間において、メーカーと委託契約等をした販売会社、運送会社、設置会社、それらの下請会社というように、数多くの関係会社が介在するのが一般的な流通形態となっている。特に、遊技客やホールに人気があり、販売台数が多くなる機種ほど、孫請会社等を含め、それらの関係会社の数が膨れ上がることになり、当該メーカーが把握もできないような状況になりがちで、そのような人気の機種ほど、不正改造がされやすい傾向にもあります。

このような状況において、果たしてホールに設置されようとしている遊技機一台一台について、メーカーが適切に保証を行えているのでしょうか。メーカー保証の現状は、中古機流通制度における販売業者による保証行為よりも劣っていると言わざるを得ないのではないでしょうか。また、部品交換のメーカー保証についても同様の問題をはらんでいることに加え、部品交換により変更された遊技機が検定機と同一であることの点検確認がなければ、適切に保証ができないという課題も抱えています。このように、新台入替と部品交換における保証については、メーカーの名のもとに行われるべきであるとはいえ、メーカー単独での保証行為が困難な現状にあるのであれば、適正に保証が行われるためには、新台入替と部品交換の保証についても、中古機流通制度のような厳格な制度管理として新台流通制度、部品流通制度が新たに必要なのではないでしょうか。少なくとも、保証行為において不正や不備があった場合には、保証名義人が責任をきちんと負うことが明確にされている必要があると考えます。

このようなメーカー保証に関する制度については、第一義的にはメーカー団体により検討・作成されるべきものであります。貴協会においては、遊技機販売業者登録制度、遊技機取扱主任者制度について有する知見から、メーカー団体の検討に協力するなどして、保証に関する厳格な制度設計を構築することにより、遊技機の射幸性の適正管理を実現していただきたいと思います。

■広告・宣伝等の健全化の徹底について

広告・宣伝等の違反については、依然として、特定の日に特定の遊技機を示し、イベント開催を告知して射幸心をあおるものや、くぎを開く等の違法行為の宣伝に関するものが発生している他、限定会員のみが閲覧できるウェブ媒体や隠語を用いた伝達手段により、規制の目をかいくぐろうとするような悪質な事案も把握している。現在、のめり込み問題対応ガイドラインを策定するなど、業界を挙げてのめり込み対策を進めている一方で、このような著しく射幸心をそそるような広告・宣伝等が根強く行われていることは残念でなりません。

皆様方におかれましては、さらなる広告・宣伝等の健全化を徹底することはもとより、のめり込み対策と相まって射幸性に頼らなくても、遊技客が気軽に楽しめる遊技環境を創出する機運を業界に根付かせることにご尽力いただきたい。

■ホールにおける置引き対策について

置引きについては、認知件数の総数が減少する中で、ぱちんこ店における置引きの認知件数が、近年高水準で推移していることは、昨年2月に発出した指導文書の通りであります。昨年の発生状況についても、ぱちんこ店内の置引き認知件数が引き続いて全体の20%を超えており、改善の兆しが見えない厳しい状況にあります。本年3月、21世紀会として「置引き防止マニュアル」を策定いただいた。置引きの発生に歯止めをかけることができるかどうかは、今後のホールの現場における運用にかかっています。貴協会におかれましては、マニュアルの策定に満足することなく、これを遺憾なくホールに浸透させるとともに、ホールがより効果的に活用できるよう、必要に応じてマニュアルの改訂も視野に入れながら、さらに強力に防止対策を推進していただきたいと思います。

ぱちんこ産業は遊技人口が減少しているとはいえ、非常に多くの方々が参加している遊技産業であります。冒頭、申し上げましたように、ぱちんこ業界を取り巻く環境は、非常に厳しいものとなっています。そのような状況の中、毎年のように行政から指摘される違法行為が根強く敢行され続けるぱちんこ業界は、今や岐路に立っていると感じている。日遊協はじめ、業界の皆様におかれましては、是非とも行動を起こしていただくとともに、その結果を示していただきたいと思います。例年お話しする講話を講話のまま終わらせてしまうのではなく、今日から動き出すことを期待しています。課題は山積していますが、射幸性の抑制と適正管理の実現を最優先課題として位置付けるとともに、その他の課題についても、一つひとつ真摯に対応していただくことは勿論のこと、その結果が世間から評価されるという事にこだわっていただきたい。その実現なくして、ぱちんこは健全な遊技たり得ないと考えます。今後のぱちんこ業界の皆様の御努力に期待しています。

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